忘れちゃったよ〜
一日や一週間やひと月や一年が、時を追うごとに短く感じてくるのはいつのころからだったでしょう。「え？あれからもう一週間が経つの？」と毎週のように口に出して言ってるのは私ばかりではないでしょう。もちろん毎日をのんべんだらりと過ごしているわけではないのにです。ひとつ思うのは、若い頃は体験したことや考えたこと感じたことをよく覚えているからなんじゃないかと思います。年寄りが昔のことに限ってよく覚えているのもそうした理由からだと思うのですが、まあ、ほんとかどうかはわかりません。それより歳をとると何でも片っ端から忘れる。どんどん忘れるのと同時に、忘れることにさほど危機感を持たなくなる。そんなふうに思います。言い方を変えると、大切なこと以外はどんどん忘れていかないと大変なことになる。大切なことだけを覚えておくための智恵なのかもしれないし、嫌なことは忘れることで自分を保っておこうとする本能なのかもしれません。だからちょっとでもどうでもいいと思えるようなことは、片っ端から忘れるのでしょう（笑）。ただ忘れついでかどうかわかりませんが、ついさっき、つまり数秒前に自分が何をしていたのか、たとえばある連続性のある仕事を、ちょっとした理由で中断して、すぐまた続きを始めようとした時に、どの時点で中断したのかをまったく思い出せなかったりします。それは少しずつ生活に支障が出てくるような気もします。……老化……それはきっと老化なのでしょう。二十歳ぐらいをピークに衰えてしまう身体機能もありますし、40歳ぐらいから意識できる老化もあります。その部分や程度は違っても、人間二十歳も過ぎれば、私たちの身体は老化へ向けて、つまりその先の死へ向かっているわけです。今年の末に52歳になる私はこの数年で急激に老いを感じるようになりました。身体能力はもちろんのこと、記憶力や判断力もそうとう鈍ってきたような気がします。ただものごとへの対処の仕方は、随分となれてきたような気もします。でも結局、おそらく死ぬまであたふたして、失敗と後悔を繰り返しているんだろうなとも思います。ただ、それはそれでいいじゃないかと思えるようになることが、決定的に若い頃と違うことです。それは決して諦めではなくて、失敗や後悔ができるのも幸せのうちなのさって、カッコいいことを言うつもりはありませんが、それでもひらきなおりや負け惜しみではないのも確かです。人生において「成功する」ことを目標に頑張っている人たちはたくさんいます。金や権力に心を失っている人もいます。自らの欲望に支配されて、大切なものを手放す人もたくさんいます。みんな幸せになりたいあまりに、幸せを見失う。う〜ん、またカッコいいことを言ってしまった（笑）。ネットのニュースに流される事件を読むと、こうした幸せを失っている人たちのことばかりが載っているような気がします。キッコーマンのCMではありませんが「幸せって何っだけ？」という問いは、人類が多様に展開してきた哲学のなかでも、かなり究極的な問いなんだろうなと思います。「私はだあれ？ここはどこ？」よりももっと根源的な問いであると思います。
……あ、もの忘れについて書くつもりが変なことになってしまいました。なんとなく書いてる途中で何について書いてるのかを忘れるんですね（笑）。忘れることができるってことは、幸せなことなのかもしれませんね。
はい、例によってのムダ話はこれくらいにして、忘れないうちにお知らせをふたつ。7月3日（土）の「重低音クラシック」チェロとコントラバスのコンサートは、もう少し入れます。あ、もう今週の土曜日ですね。まだ大丈夫。でももう少しで締め切るかもしれません。お早めにどうぞ。
それから8月7日（土）の重松壮一郎ソロピアノライブも予約受付中です。まだひと月以上先のことですが、忘れないうちに予約してくださいね〜。
現在開催中の太田孝三展。おかげさまでたくさんの方に見ていただいています。太田さんの作品のおかげで、カフェ豆の空間がとても充実しています。私は毎日太田さんの作品に囲まれて生活しているわけですが、飽きることがありません。優れた美術作品というものは、表面的なメッセージはもちろんあるのですが、その背後にある、もっともっと深い「存在のありよう」みたいな何者かを見るものに感じさせます。現代美術と呼ばれるメッセージ性の強い作品には、あまりそうしたものを感じさせることが少ないのですが、太田さんの作品は強烈な社会性、時代性をさらに飛び越えた何者かが魅力なのだと思います。それは文字通り命がけの表現のなせる技なのだと思います。
あ〜、また言うの忘れてたんですが、毎週火曜日はパスタランチはお休みです。昨日もたくさんの方がパスタランチを求めてカフェ豆にいらしていただいたんですが、そういうことで毎週大変申し訳ないです。なんとか火曜日もランチをお出しできるように頑張りますが、もうしばらく火曜日だけランチはお休みにさせていただきます。それと定休日の月曜日も毎週何組かのお客様が来られて、大変申し訳なく思っています。すみません。月曜日の定休日だけはどうすることもできないです。もし毎日毎日カフェ豆が朝から晩まで大入り満員になれば、年中無休にもできますが、それも無理な話ですからね（笑）。
