今日から太田孝三展

今日から始まりました「太田孝三展」。そして今日はなんと太田さんの誕生日だそうです。とくに合わせたわけではなく、自然のなりゆきのなかで気がついたら初日が誕生日だったと言う不思議なはじまりです。

すごいです。すごい迫力とクオリティ。作品は点数で言うと5点。5点なんだけど、これ以上増やすと見る方がきつくなるくらいの充実ぶりです。実際はもう少し作品を準備していたのですが、結局5点となりました。それでも圧倒されます。きのう展示が終わって、こうして次々と質の高い展示ができることをあらためて幸せに思います。そして長崎には、こんなにすばらしい作家さんたちがたくさんいらっしゃるし、そうした人たちの作品を鑑賞できる場所が少なすぎるとも思いました。今回でカフェ豆内のギャラリー「ギャルリーコクトー」の企画展が28回目となります。ギャルリーコクトーではこれからも長崎の、または長崎にご縁のあるすばらしい作家と作品をご紹介していきたいと思っています。どうかよろしくお願いいたします。
現代美術と言うと、いろんな解釈の仕方がありますが、時代的には戦後につくられた美術作品のなかでも、素材や表現方法の概念にとらわれることなく、比較的自由な作風をさすように思われがちです。意外とがんじがらめに頭でっかちだったり、奇をてらうことばかりのつまらない作品も「なんでもあり」な風潮の中で「これが芸術だ!」みたいにひとくくりにされて、一般的には理解しがたい、何をどう見ていいのかわからないといった印象のものが多く見受けられます。現代美術といえども、見る人はどんなふうに見てもいいんです。私も常日頃言うことですが、美術作品は謎解きじゃないんだから見えるように見ればいいんです。それ以外見る必要はないでしょう。というか見れないですから。もちろん作家の意図は意図として確実に存在しますが、作品はその作家の意図をくみとるための解説書ではありません。あくまで作品であり、それは作家の手元からはなれた瞬間から「独り立ち」します。そこには作家でさえ思いもしなかったようなメッセージが発信されることもあります。芸術は作家ありきではないし、すぐれた作品はその作家を越えることもあります。というかそうしたものこそが真に芸術の芸術たるものではないかとも個人的には思います。作家としてはとても個人的な思いでつくっていても、そこにはとんでもなく大きな視点が存在したりもします。作品がその作家の個人的な思いや人となりだけを表現するものであれば、面白くも何ともありません。現代美術と呼ばれるもので、そうした作品のレベルに雲泥の差があるのは、そうした作家を越えるものがどこまで秘められているかどうかだと思います。言ってみれば表現方法や素材の使い方の斬新さなどとるに足りないことです。要はその表現の向こう側に何を存在させられるのかが問題です。作品とはその作家をも越える表現の向こう側にあるものの結果でもあります。そうした結果だけの表層を真似ただけの作品はじつに薄っぺらなものであり、見るものに何も感じさせません。逆に表現の向こう側に根ざした表現であるならば、たとえそれが絵画や彫刻のような伝統的な表現形式を踏まえていないものであったとしても、すばらしい芸術作品となるのです。
ちょっとえらそうなことを言ってしまいましたが、太田さんの作品は、そうした意味で、見るものが見ようとするだけ深い精神性と時代性を感じ取ることができるし、生きることの不思議さと大切さについてあらためて考えさせられます。そしてこの世界はいったい何ものなんだろう。その何ものかもわからない今の世界にいる自分とは何ものなんだろうという問いかけが襲ってきます。とくに太田さんの作品はなんらかの答えではなく問いかけです。その問いかけになんとか答えようとする自分。そうした精神的なやりとりのなかで世界、他者、自己、存在、生と死、社会、民族、国家、歴史、記憶、家族、戦争…そんなことを思いめぐらしています。いや、決して難しいことではありません。太田さんの作品に触れながら「自分っていったいなんだろうな?」そんな単純な問いかけをあらためてしてみるのもいいかもしれません。

太田孝三展は諫早市のたらみ図書館で同時開催しています。こちらも大作がどかんと見応え十分の展示です。是非おでかけくだだい。
 

今週の土曜日午後7:30スタートの驚愕のスーパーベーシスト「今沢カゲロウ」ライブ。世界レベルのエレクトリックベースをすぐ目の前で堪能できるライブです。ワンドリンク付き2500円。予約は電話095-825-4455またはメールyon_ef@ybb.ne.jpまで!
 

そして6月20日(日)午後3:00からカフェ豆フリーライブ「昼ジャズ!」です。コーヒー1杯で本格的なジャズの生演奏がお楽しみいただけます。もちろん予約不要、ドリンク代のみです。演奏は長崎を代表するジャズプレイヤー柴田健一(トロンボーン)と得田諭志(ピアノ)のデュオです。
 

7月3日(土)の午後7:30スタートで、今度は純粋なクラシックのコンサートを開催します。なんとチェロとコントラバスのデュオです。カフェ豆の分厚い杉板の床に直接エンドピンを突き刺しての演奏。奏者はOMURA室内楽オーケストラのメンバーとしても有名な亀子政孝さんと田辺清士さん。題して「重低音クラシック」。演奏曲は
無伴奏チェロ組曲より(J.S.バッハ
・モティビ(タバコフ)
ソナタ第10番ト長調(バリエール)
ソナタ変ロ長調K292(モーツァルト
・チェロとコントラバスのための二重奏ニ長調ロッシーニ)その他
となっています。
凄いですね、楽しみですね。
ワンドリンク付2500円。今日から予約受け付けます。電話095-825-4455またはメールyon_ef@ybb.ner.jpまでお気軽にどうぞ!