「なんか野郎九州」というクリエイターのイベント

わたくしカフェ豆店主の本業がじつはグラフィックデザイナーであることは、このブログでもたまに書いているのでご存知の方も多いとは思いますが、そういう職業柄といいますか、ときどきデザインについて文章を書いてくれという依頼があります。そんなときにはたいてい「デザインとは何か?」みたいなことについてのことを求められているようなので、とりあえずそれに沿って書いています。で、いろいろ切り口はあるのですが、結論から言うと
 ・かっこいいものをつくることがデザインではない。
 ・デザインはクライアントの要望の結果である。
 ・その結果がすべてであって、デザイナーの意思や主張は二の次である。
 ・いろんなものごとの調整の結果がデザインであって、デザインのカッコいい部分はその結果のほんの一部分に過ぎない。
 ・優れたデザインとは格好の良さではなく、きちんと伝わっているかである。
だいたいはじめにそんなことを書くことが多いですね。かっこいい人と、かっこつけた人が違うように、かっこのいいデザインは、かっこつけたデザインとは違います。かっこつけることがデザインだと思い込んでいる人がわりと多いし、若いデザイナーでさえそんな勘違いをしたりしていることもあるので、とりあえずその辺りの認識をはっきりさせておいて話を次に進めるようにしています。デザインってかっこつけるとかつけないとか、そんな薄っぺらなものではありません。人間の知覚や行動が理屈以前に自然な形できちんと収まっているように、デザインって人間の行動の基本的な部分をふまえながら組み立てられているものなんですね。美術や音楽のような芸術とは基本的にちがうんですね。ですからデザインで自己主張しようなんて素人のやることです。もちろん芸術も自己主張の道具にしているような作品はみっともないですけどね。「オ、オレが…このオレがあ〜…」みたいなオレオレアートに芸術的な価値なんてありません(キッパリ)。デザインの世界ではもっとそれが顕著です。私もプライベートで美術作品をつくってきましたが、美術作品をつくっているときの自分と、デザインの仕事をしているときの自分は、意識の持ちようがまったく違います。デザインは目的や予算や時間の制約の中で、いかにしてクライアントの利益が増やせるかを考えるのがデザインであって、美術の場合は「自分は何ができるのか、何をやるべきか」「この世界は何者なのか」なんてことを考えながら、その考えさえも消えてなくなりそうな感覚とか感性の世界に身を委ねながら、そこから何が出てくるのかさえわからないまま表現の世界を掘り下げていく作業です。それくらいデザインとは基本的に違うんですね。こんなことを話しだすときりがないですが(笑)、カフェをやりながら、アーチストの作品を紹介するギャラリーをやって、グラフィックデザインの仕事をやって、けっこうライブもやったりしていますが、自分自身で美術作品をつくって発表もしていて、なおかつデザイン関係のイベントもやったりしていると、いったい自分は何をやろうとしているんだろうと思うこともあります(笑)。
ということで、久しぶりにデザイン関係のイベントのお知らせです。長いマエフリでした(笑)今回はカフェ豆ちゃん主催ではなく、九州のクリエイターたちが主催する痛快なイベントをカフェ豆ちゃんを会場にして行ないます。題して
なんか野郎九州
『CM制作バトルトーナメント120分1本勝負!
2時間でCM作れんのか?』
11月14日(土)夕刻から夜にかけて
これまでライバル同士だった大手広告会社の電通博報堂をはじめ、九州のクリエイターたちが、会社や立場の壁をぶちこわして、おもしろいことやろう!ということで立ち上がった、前代未聞のおもしろイベントが、ついに長崎に上陸です。そしてその会場がカフェ豆ちゃん。おおまかに言うと、カフェ豆ちゃんにクリエイターが集まって、そのときにテーマが発表されて、そこから2時間以内でCMをつくって公開しちゃおうという企画。みんなプロ集団だから半端なものはプライドが許さない(笑)。タイトルどおり『
2時間でCM作れんのか?』って思いますが、そこはやはりプロのやることですからすごいことになりそうです。そして今回のイベントでは長崎県立大学で映像関係の勉強をしている学生さんたちもバトルに参加。プロの制作集団にどこまで対抗できるのか、これも見所ですね。彼らもやる気満々。これは業界としてもそうとう画期的な出来事です。わかりやすく言うと、トヨタニッサンのエンジニアが共同で新しい車を開発して、その一部始終を公開しちゃおうといったことなのです。そして今回も実際のテレビCMの企画から脚本、撮影、編集、フィニッシュまでを2時間でやっちゃう。その直後にみなさんに見てもらって、どれがいちばん面白いかを決めちゃうという、そりゃ面白いけどかなりシビアなイベント。このライブ感がたまりませんね。
11月14日(土)カフェ豆ちゃんをメイン会場に、普段は見ることのできないクリエイターたちの仕事っぷりを見ることができます。広告業界の人たちのみならず、一般の人も多いに興味のあるイベントですが、あんまり観客が多過ぎても収集がつかなくなりますので、このイベントの参加に関しては後日お知らせします。
ということで、11月はギャラリーや音楽ライブ以外にも楽しみが増えたカフェ豆ちゃんをよろしくお願いします。