「岩永嘉人展 光の旅・Sola」

昨日から始まりました「岩永嘉人展 光の旅・Sola」の様子です。







毎回そうなんですが、カフェ豆内に展開するギャルリーコクトーの展示は、内装と作品が驚くほどマッチします。これまでいろんなジャンルのいろんなタイプの作品を展示してきましたが、どれもそれほど苦労せずにピタッと決まってくれます。それは作品のクオリティの高さを物語っているのだと思います。今回の岩永嘉人氏は今さら紹介するまでもないほど長崎では著名な方ですが、ご存知ない方のために一応ここでプロフィールなどご紹介します。
1984 北九州絵画ビエンナーレ展入選(北九州市立美術館)
1986 個展(東京・みゆき画廊)
    グループ「雑・個」展(長崎・NBCアートギャラリー)
    北九州絵画ビエンナーレ展入選(北九州市立美術館)
    個展(長崎・浜せんアートギャラリー)
1988 30代展(長崎:県立美術博物館)
    イベント88展(福岡:福岡県立美術館
1989 イベント89展(福岡:石橋美術館
1990 個展(奈留町:開発センター)
    とんがりぼうしと現代美術展(山口県豊浦市)
    個展(長崎:ぐみの舎)
1991 点・展(長崎・浜せんアートギャラリー)
    第2回「風の芸術展」枕崎ビエンナーレ入選・賞候補
    30代展 91(長崎:県立美術博物館)
1992 安井賞展入選・賞候補(東京・西武美術館その他)
    点・展(長崎:西沢ギャラリー)
    現代日本絵画展入選(宇部市宇部文化会館)
    公募92、日本海美術展奨励賞(富山県立近代美術館
    21世紀アート大賞展入選(熊本市熊本県立美術館)
1993 点・展(長崎:西沢ギャラリー・浜せんアートギャラリー)
    第3回「風の芸術展」枕崎ビエンナーレ入選
1994 第1回別府現代絵画展入選
    点・展(長崎:浜せんアートギャラリー 佐世保:島瀬美術センター)
    青木繁記念大賞公募展(久留米:石橋美術館 郡山市立美術館)
    現代日本絵画展入選(宇部市宇部文化会館)
1995 Voltex展(長崎県立美術館)
    九州美術の現況展(鹿児島市立美術館)
1996 九州美術の現況展(都城市立美術館)
1997 個展(長崎市:KTNギャラリー)
1998 Peace Art Show(Albuquerque City, USA)
    アートバスケット展(長崎:ぐみの舎)
1999 EXHIBITION'99 SEOUL VENEZIA NAGASAKI(SEOUL、大韓民国
    アートバスケット展(長崎:ぐみの舎)
2000 日韓現代美術交流展 NAGASAKI SEOUL 2000(長崎・KTNギャラリー)
    英展(福岡:田川市美術館)
ざっとこんな感じで、個展やグループ展の合間に大きなコンクールに軒並み入選や入賞し、たとえば1992年の安井賞展というのは、いわゆる美術界の芥川賞ですね。そんな賞候補にあがる方です。
岩永さんの作品は、フォルムを意識的にはっきりさせないようにつくってあるので、写真に撮るときどうしてもピントが合いません。オートモードではもちろんカメラがピントを合わせきれないのですが、マニュアルにしても、これで合ってるのかどうかがわかりません。画面をじっと見ていると、肉眼でさえピントが合わなくなりクラクラすることもあります(笑)。もちろんただぼんやりとした画面を描いているのではなく、そこには長い間平面を追求してきた岩永さんの徹底したこだわりと世界を見ることの経験値が集約されています。はじめて岩永さんの作品を見る方は、もしかしたら何がなんだかわからないかもしれません。ぱっと見、青一色の画面があるだけ。よく見るとじんわりとトーンの変化がある。かといって何かの形というわけでもない。何かの形が描いてあることが絵画の意味ではありませんから、たいしたことではないのですが、あまり美術に接する機会のない方にとっては難解な作品なのかもしれません。そこでいつも言っていることですが、美術作品はあまり意味を深追いしないことが大切です。もちろん作品自体にはたいへんな意味が含まれています。でもダヴィンチコードではないのですから(笑)その謎解きをしたところで、かえって何がなんだかわからなくなるのがオチってもんです。それより作品と感覚で向き合うことが大切だと思います。美術作品は壁の飾りではありません。優れた作品は、きちんと向き合えば、きちんと答えを返してくれます。ときには心を広げてくれたり、勇気を与えてくれたり、この世の深淵に導いてくれたりします。作品と向き合うとき、それはこちら側の心が問題なのです。だから人によっては何の意味もない平坦な画面であったり、人によっては自然に涙が流れるほどの感動を与えたりします。プロでも素人でも絵は描けますが、見る人にどれだけのものを与えられる作品をつくれるかどうかが決定的な違いだと言えます。「岩永嘉人展 光の旅・Sola」実際の作品に是非じっくりと向き合ってみてください。そこには今まで自分でも気づかなかった自分に出会えるかもしれません。

岩永さんの作品については、先日発売された季刊誌「楽」第5号の「ながさき美の探訪」に掲載されています。もちろんカフェ豆店主が書きました。長崎市内の有名書店で発売中です。
http://ra-ku.jp/magazine/index.php