絵画と音楽

え〜、きのう写真でご紹介しました岩永嘉人展の作品が、真っ青だったり、真っ白だったりで、何も描いてないじゃないかと思われた方がいるかもしれません。もちろんちゃんと描いてあります。キャンバスにアクリル絵の具を使って描いてありますが、エアガンで吹き付けてありますので、写真ではその微妙な変化や色合いを反映できません。なにしろピントさえ合わないですから(笑)実際の作品を見るしかありません。そう思っていたら、同じことを岩永さんご自身がブログに書いておられました。ここです↓
http://blog.livedoor.jp/huukei44/
私もこのブログを読んで知ったのですが、岩永さんの音楽の趣味がかなりダブっているんですね。いや、岩永さんのほうが音楽をシビアに聞き込んでいる感じがします。岩永さんは私より4つ年上。おそらく高校時代はブリティッシュロックガンガンだったんじゃないかと(笑)。で、スティーブ・ライヒタンジェリン・ドリームの名前が出てくるので、もしかしたらプログレも聞き込んでたんじゃないかと想像してます。ECM系のジャズも聴けばストーンズも好きといったところ「おお!」って感じです。絵を描いている人で音楽の趣味が似ている人にほとんど会ったことがないのでうれしくなります。今回の企画展で、岩永さんからリクエストがありました。「一日に1回でいいから、どこかでスティーヴ・ライヒを鳴らしてくれ」ということでした。さすがにランチタイムは無理としても、それ以外で鳴らそうと思います。

ライヒ:ベスト

ライヒ:ベスト

それから私の独断で(笑)作品にふさわしいBGMを選んでみました。
イヴニング・スター 2008リマスター・ヴァージョン(紙ジャケット仕様)

イヴニング・スター 2008リマスター・ヴァージョン(紙ジャケット仕様)

微妙なトーンの変化とは対照的な4辺の鋭すぎるほどのエッジが、このフリップ&イーノの名作にぴったりだと思います。
out of noise

out of noise

坂本龍一という人は、どうしてこうも的確に音をつくっていくのでしょう。一歩間違えば完全に外してしまうところを、びしっと寸止めで決めてしまうみたいな。ポップでもクラシックでもノイズでもテクノでもない。でもビシッと決まってる。くやしいなぁ(笑)
で、このところ岩永さんの作品を見続けながら仕事をしていて思ったのが、やはりエッジの強さですね。画面上にはほとんど変化らしい変化がないのと同時に、画面の角、つまりエッジがますます際立ってくるんだと思います。もちろんブルーやホワイトの色そのものにも密度を感じさせるような積み重ねの妙があるからでしょうが、こうして作品が並べられた時に、圧倒的に迫ってくる矩形のエッジにはっとさせられます。まるで2001年宇宙の旅モノリスに取り囲まれてしまったような迫力です。もしかしたら作品に触れたら頭がよくなるかも(笑)。いや、決して作品には触れないでください。ほんとうにデリケートなマチエールが作品の命ですから。
ということで、作品を前にいろんなことを考えてしまっているカフェ豆店主です。さあ、そんな岩永さんのギャラリートーク「大人の絵画、子どもの絵画+α」は8月29日(土)16:00から。500円のコーヒー代でどなたでも参加できます。絵にちょっとでも関心のある方なら興味深いお話が聞けると思います。ぜひおいで下さい。その前にこれらの作品にたっぷり浸ってくださいね。
あ〜、今日もまたカフェの話ができなかった(笑)