ラルフ・タウナーが似合う店になりたい!

今日は1枚のCDを購入しました。大好きなギタリスト、ラルフ・タウナーのソロアルバム「アンセム」です。

アンセム

アンセム

こういう人の頭の中はどうなってるのでしょう。何を見ているのでしょう。世に芸術のようなものをやっている人はゴマンといますが、ほんとうに芸術を誕生させることのできる人、いわゆる芸術家はそうそういません。よく「選ばれし者」なんていい方をしますが、それはその人が何を見ているのかである程度分かるような気がします。音や絵や映像や言葉を介して、垣間見せてくれる世界。これまで見ることのできなかった世界があることを、きっと見ているのだと思います。楽器の演奏がうまいとか、絵を描くのが上手いというのは二の次ではないでしょうか。ただ、当然のごとく上手くなければ表現できませんから、上手くて当たり前だと思うのです。でもその上手さが芸術の価値を決めるものではないと思います。大切なのはその人に何が見えているのかだと思います。西洋社会が産業革命によって近代化が進み、芸術が個人の自己表現としてもてはやされるようになったころから、芸術家は孤独な旅人であるかのように彷徨いはじめました。何かが違うという苛立ちを胸に秘め、まだ見ぬ理想の風景を求めて彷徨い歩く精神の旅人こそが芸術家だと思っています。あ…なんか長くなりそうなのでやめときます(笑)。でもついそんなことを考えさせられるすばらしい演奏です。ラルフ・タウナーアメリカ生まれのジャズ・ギタリストですが、その徹底したリリシズムは北の国の音のように聞こえます。まさしくカフェ豆ちゃんが目指す極北のカフェで鳴っている音です。カフェ豆はまだまだ極北どころか、赤道直下から出発したばかりのカフェ豆でですが、でもいつか、この凛々しい空気が似合う空間になればと夢見ています。もちろん、かっこだけならいつでもできます。それでは何の意味もない。どこにでもあるカッコつけたオサレなカフェにはなりたくないなと思っています。本物の芸術家の素敵な作品や演奏が繰り広げられ、それを求めて素敵な人たちが集まるお店。そこに美味しいコーヒーや美味しいお酒があれば言うことないじゃないですか。そんなカフェを目指しています。これからもよろしくお願いします。
 

毎日お知らせしております6月7日(日)午後7時からケルティックライブ。素敵なケルトミュージックを奏でる長崎のバンド「オットリーズ」。今回は5人のメンバーがいろんな組み合わせで演奏してくれます。ビールやワインを飲みながら、みなさんいっしょに楽しみましょう。
 
話は変わりますが、以前仕事で亀山社中跡と言われている家に行きました。もう何年も前のことです。そこではボランティアのおじさんが丁寧に解説をしてくれました。「龍馬はこの床柱にこんなふうにもたれかかって刀を片手に座っていたんですよ。」「見てたんですか?」とさすがにつっこみは入れませんでした(笑)が、ここを訪れる観光客のみなさんにそう説明をされていました。「ええっ!坂本龍馬がいた130年も前にこの家が建っていて、そのときの床柱がこんなにピッカピカに真新しいのはどうして?」と思ったものですが、それはともかく、それを聞いた観光客がみんな床柱にもたれかかって、置いてあるおもちゃの刀を片手に記念写真を撮っている。この亀山社中跡といわれている建物は、亀山社中を観光スポットにするために、某有名歴史家に相談したところ、「亀山社中が伊良林の亀山にあったことは間違いないから、このあたりの家をそういうことにしたらどうか」というアドバイスを受けて、手頃な日本家屋をそういうことにしたという話も聞きます。最近この建物の見取り図が見つかって、増改築を繰り返すうちに玄関の位置も変わったのだとか。130年前の小さな木造家屋をつくるのに、当時の大工が今でも残るような見取り図を書くのかどうかは謎ですが、それはともかく、この某有名歴史家は料亭花月にある「龍馬の刀傷」も「そういうことにしたら楽しいじゃないですか」という理由で、そういうことになったらしいです。それから「グラバー邸の屋根裏部屋を、当時の幕末の志士を匿った隠し部屋ということにしたら観光客が喜ぶだろう」ということで、あくまで「…といわれている」としておけば嘘を言ったわけじゃないということなのだそうだ。結局「龍馬の刀傷」というのは、あの部屋が明治になって立て替えられたものだということがはっきりしてからは、うそだということもはっきりしたわけで。しかし数えきれないほどの龍馬フリークが長崎の料亭花月に訪れて、あの刀傷を見ては幕末の長崎に思いを馳せていたわけで、あの傷が偽物とわかった日には「長崎はウソツキ」と思われてもしょうがないですなあ。そもそもグラバー園というのも、以前、長崎の観光スポットの目玉になるものがないかと、当時の市長が某有名歴史家に相談したところ「長崎のあちこちにある洋館をグラバー邸のそばに集めて入場料をとったらよかでしょう」ということで現在のグラバー園ができた、といわれている(笑)。たしかにグラバー園のなかにはグラバーとは関係ない建物やいろんなものが集められています。まさにチャンポン文化の長崎らしくはありますなあ。