くぼみのある形

いやいや、なかなか面白くなってきましたね〜。一日一作品について語る試みもあっという間に4日目となりました。野島くん、あんまり根つめて書かなくていいですから(笑)。で、私がここに書くことは、できるだけ見る人と作家の中間に立って、素朴にわかりやすい橋渡しができればと思っています。それも私が感じたことですから、間違いがきっとあるかもしれません。そんなときには遠慮なく言ってください。

『くぼみのある形〈結晶〉』大理石 300×300×150mm \200,000

では4作目は『くぼみのある形〈結晶〉』です。今回の作品展の中には、この形が3点あります。その中のひとつ。わりと小さな白い大理石の作品。部分的に亀裂があって、中から紫色の結晶が覗いています。とっても綺麗です。整った形の一部に亀裂が入っていて、何やら中身が見えるというのはドキッとします。で、好奇心のままに中をのぞくと輝く宝石のようなものが埋まっている。本当なら見てはいけないものを見てしまったのかもしれないという思い。でもちょっと得したような気分。で、見逃してならないのは全体の見事なフォルムだと思います。今回の作品展で、この「くぼみのある形」シリーズは文字通り彫刻家野島泉里にとってのひとつのマイルストーン的作品ではないかと感じました。後日紹介しますが、今回のいちばんメインになる作品『有明海に浮かぶ月』は圧倒的な迫力で見るものに迫ってきます。ここのブログの小さなピンぼけ写真を見てスモーカーさんがじっとしていられなくて実物を見に来てくださったぐらいですから。このフォルムはこれまでの野島作品がひとつに集約され、ここから新しいステップが始まったと言えるのではないかと思います。これまでの作品とは完全に違ったオリジナリティと次元の高さを感じます。何というか、匂い立つようなフォルムへの追求心が見事に昇華され作品となっています。圧巻です。これはまったく正直な話、この作品だけでも見に来る価値はあると思います。あ、詳しくは『有明海に浮かぶ月』の回にお話ししましょう。それにしてもこの作品が\200,000だなんて信じられないくらい安いと思います。お金があったらすぐにでも買っちゃうけどなあ。絶対お買い得ですよ。私だったら\500,000つけますね〜。