小心者の店主です

正月三ヶ日とはいっても、近頃は3日ともなるとすっかり正月色はなくなって、街はバーゲンッ!みたいな感じで日本の正月も風情がなくなりつつあるのかなあなどと、およそ正月らしくないカフェ豆も入り口に門松、ピアノの上に鏡餅をお供えして、雰囲気だけ草花を生けてみました(日本語になっていない)。今日もお客さんは少ないだろうと思ったら、朝から今までずっと絶えることなく、こりゃいつもより多いじゃん(笑)。ありがたいですなあ。で、私はというと、お店がお客様でいっぱいになろうものなら、とたんに慌てふためいて、いつもはまちがったりしないはずのオーダーを勘違いしたり、よけいにコーヒーをいれてみたりと、かえって時間がかかったりで、まったくかっこわるいったりゃあらしない…いや、かっこわるいったらありゃしない(笑)。目下、私の最大の課題は、お客さんがいっぱいでも慌てないこと。う〜ん、意外な盲点でした。何百人、何千人もの前で平気でしゃべれるのに、お店にお客様が20人来られただけであたふたするのはなじぇ?
まあ、この歳(今年50歳です)にもなれば、かっこわるいのどうのというのは大した問題ではなくなるので、自分としてはさほど気にしないのですが、やはりお客様にとってお店の人があたふたしているのを見るのは不愉快でしょう。そりゃそのとおりです。ですからこの小心者をなんとかしなければいけません。それにはやっぱ慣れでしょう。慣れるにはしょっちゅうお客さんでいっぱいという機会がないといけません。う〜ん、こりゃもっと難しいゾ。

それにしても新年早々お店が忙しいというのはほんとうにありがたいことです。近頃ではランチのパンが美味しくて、帰りにごっそり買っていかれるお客様もいらっしゃいます。夜になってパンはありますか?と来られるお客様も多いです。パンを焼いている妻がいちばん不思議な顔をしています。「べつになにか特別なパンを焼いているわけじゃないのにねえ」と言います。「そのいちばんシンプルな材料でいちばんシンプルに焼くのがいいんだろうね」と私。先日、長崎の老舗料亭のご主人が来られて、「美味い!こりゃ美味いですなあ、幸せの味がしますねえ」とたいへんなお褒めの言葉をいただきました。いちばん驚いたのはやはり私の妻。「ふつうにレシピ通りに焼いてるだけなのに…」と首を傾げる始末。よく考えてみると、国産小麦だけをつかって、いっさい添加物を入れず、玉子も牛乳も使わずに20人分のパンを焼くのに毎朝3時間かけているのですから、大量生産のパンとは違うだろうとは思います。おかげでまったく予想外のヒット商品となりました。ただ一日に焼ける数が限られるので、たとえヒット商品でも儲からないというオチつきでした(笑)。