オープン前の最終段階

毎日があっという間に過ぎていく感じの中で、カフェ豆開店計画もいよいよ終盤に入ったなあと感じるこのごろ。お店の中を見回してみると、たいていのものは揃ったし、あとは何が足りないかを探すという段階に来ました。看板のデザインも決まって明日発注しにいきます。発注先は私がいつも作品をプリントアウトしてもらうところ。美術作品を安心してまかせられる看板屋さんなので、まったく心配ない。素材に関しても適切なアドバイスをしていただけるすばらしい職人集団だと思います。
今、コーヒーのメニューの絞り込みをしています。エスプレッソコーヒーのバリエーションはカクテルと同じくらい無尽蔵にあるので、どこかで線を引かないと大変なことになります。特にカフェ豆ではできるだけ単純なメニューにしようと思っているので、なかなかむずかしい。たいへんな宝の山を発見したのに、ほんのいくつかだけしか持って帰れないといった感じ。でももうきっちりとメニューを決定して、そのすべてをベストの状態で提供できるレシピとローテーションマニュアルをつくりあげなければいけない。オープン前の最後の大仕事である。ひとくち飲むだけで幸せになれるコーヒー。その道具も材料も場所も揃った。あとはそれを使いこなす人の技術を安定させること。それにはやはりマニュアル化が必要だし早道である。でもいちばん大事なことはもてなしの気持ちだってことを絶対忘れないようにしたい。カフェ豆にはいろんな要素がある。内装、家具、音楽、アート、グッズ、読書、コーヒー、パン、スープ、お酒…、それぞれすべてがそれぞれを引き立てることのできる脇役であり、来ていただけるお客さんが主役であり、ここにはいつも変わらないゆったりした時間と空気と少しだけ刺激的なアートのエッセンスを感じられるようにしたい。考えてみたら、この計画の当初の理想からそんなに離れずに済んだと思う。それはいろんな人のプロフェッショナルな力をお借りすることができたからだと感謝しています。最初の理想からどこまで妥協しなければいけないかが問題だったんだけど、こうしてお店を見回すにつけ、ほとんど妥協せずにすんだなあとつくづく思う。だからへたにオープンの日時を決めると、これまでのいろんな方の思いを台無しにしてしまうし、どこかで無理をしすぎてしまうので決めないことにした。「よし、これで明日オープンできる」と思った数日後にオープンします。