水辺の森の音楽祭

きのうの「水辺の森の音楽祭」。田口ランディさんのステージのとき、奇跡のような美しい夕焼け空が出現しました。この言葉を失うほどの圧倒的な美しさをたたえる風景の出現が、単なる偶然とするにはあまりにも多くのメッセージを伝えているような気がしました。この世界は生きている人間だけがつくっているものではないということをあらためて思い知らされた瞬間でした。水辺の森の音楽祭は、原爆で亡くなった方への慰霊の音楽祭。これは単なる楽しい音楽イベントではなく、文化人類学的な、民俗学的な、あるいは考古学的な意味での「祭り」であり「祀り」であると思います。戦争や原爆をつくりだすような自分たちの傲慢な生き方を戒め、みんなが幸せに生きることの視点を確認する集い。主役は出演者でも観客でもなく、この世界をかたちづくっている大きな力の存在を生死を超えて讃えあう姿こそが、この祭りの意味するところなんだと思いました。あのときの空には、ほんとうに大きな大きなこの世に住まわせてもらっている矮小な人間という対称的な姿を見せられた気がします。