今年の8月9日

今年も8月9日が近づいてきました。長崎にとっての8月9日はやはり特別な日であり、いろんな歴史的な側面がある長崎の街の歴史の中でも、ひときわ異質な日でもあります。どうか長崎が人類最後の核被災の地であってほしいという願いは、第五福竜丸事件を体験したにもかかわらず、原爆投下から66年後の今年、3月11日に無惨にも打ち砕かれました。核の脅威は、こうした形で私たちにふたたび襲ってきてしまいました。原子爆弾によって、いやというほど苦しみ悲しんだ私たち日本人が、政府とマスコミの巧妙な情報操作によって原子力の平和利用という夢物語を信じ込まされ、特権的な一部の利害のために、とりかえしのつかない被害が今もなお広がっています。原子爆弾原発は違うと言う人もいますし、若い人は理解しがたいのかもしれません。たしかに物理的には爆弾と発電は違うかもしれませんが、国家戦略という意味ではなんら変わるものではありません。それはクリントン政権時に放映されたNHKのこの番組を見ればよくわかります。とくに若い人に見ていただきたいと思います。

 
さて、今年で32回目となる「ながさき8・9平和展」が8月3日(水)〜8月9日(火)(8月8日は休館)に長崎県美術館で開催されます。私もこの美術展の企画委員をさせていただいて25年になります。その間、この美術展のポスターをつくらせていただいています。今年のポスターはこれです。

今回のポスターには、現在の浦上天主堂の敷地内にある被爆して腕と頭が吹き飛んだ聖者の石像を写真に撮って使用しました。被爆した浦上天主堂の残骸が残されていれば、間違いなく世界遺産となったでしょうが、アメリカが歴史ある教会めがけて原爆を落としたことが知られないように、被爆した浦上天主堂アメリカ軍の一方的な力で跡形もなく撤去されました。それはちょうど原発が核の平和利用に必要なものだと宣伝されたのとよく似ています。ですから、ここ数年は、ほんのわずかに残された浦上天主堂被爆遺構をモチーフにしてポスターを制作しています。
「原爆を、核を、戦争を考え、平和を願う者の表現の場として開催している『ながさき8・9平和展』は今年32回展を迎えました。私たちの時代に核兵器と戦争のない平和な世界が実現することを願って、子どもからお年寄りまでみんなでつくる、手作りの展覧会です。」これからも私たちの祈りが届く日を願いながら展覧会を続けていきたいと思います。みなさま期間中は長崎県美術館県民ギャラリーへ是非おこしください。毎年、広島やアメリカ、中国、東南アジアなどからの出品もあります。この展覧会は、いかなる主義主張思想信条にも頼りませんし、特定の団体や自治体などの支援や後援も受けていません。またこれからも決して受けることはありません。一般市民のボランティアと出品料で成り立っています。そして、ながさき8・9平和展ではただいま出品者を募集中です。作品展示のための審査はありません。大人は1点3000円、高大生1500円、中学生以下300円の出品料で、全員の作品が展示されます。多くの出品によって私たちの平和への思いを表現しましょう。募集要項はカフェ豆ちゃんにも置いてあります。