3.11以降

オランダの世界的写真家カリー・マルケリンク氏の写真展が終了しました。冒頭でのトークセッションも含め、たくさんの方においでいただき、ほんとうにありがとうございました。今回の福島原発事故は収束の兆しさえ見えないどころか、とりかえしのつかない実態ばかりがかろうじて見え始めたといった現状。今回のトークセッションと展示が、図らずもタイムリー過ぎるほどのイベントとなったことに複雑な思いでもあり、カリーさんの作品を見ながら、人間の犯してきたことの愚かさを、あらためて考えさせられる機会となりました。そしてカリーさんのような本当の意味でのグローバルな視点が、これからの世界には必要なんだと思いました。さらに芸術家が世界と関わることの重要性にもことさら感じ入ることができました。今回のイベントに際しまして、多大なご協力をいただきましたカリー・マルケリンク氏ご本人、キュレーターの菊田氏、デザイナーの山崎氏、トークセッションを引き受けてくださいました山本氏に、それからプロジェクターや音響などに協力いただいたユミちゃん、ダイさん、タナカッチにあらためて感謝申し上げます。またトークセッションの折りに、福岡、大分、佐賀、佐世保など遠方から足を運んでいただいた皆様にも御礼申し上げます。みなさまがたのご協力のもと大変有意義なイベントを開催することができました。ほんとうにありがとうございました。
 
さて、カフェ豆ちゃんはこれからもアートと音楽を中心にしたさまざまな人やモノやコトが行き交う交差点であり続けたいと考えています。今年はまだ始まったばかりと思っていたら、もう6月になろうとしています。月日の経つのは本当にはやいものです。何をしてもしなくても月日は過ぎ去っていきます。カフェ豆でやりたいことは山ほどあるのですが、できることからコツコツと(笑)やっていければと思います。3.11以降、とくに原発事故(事件)によって人々の考え方が決定的に変換を迫られています。私たちは3.11以降どう生きていけばいいのかを迫られています。政府が目指していると言う政治主導が何も意味をなさないことも思い知りました。私たちは決して安全な国で生活をしているわけではないこともわかりました。自分たちで情報を収集し、分析し、自らの意思としてどう生きていくのかを決定しなければならないということがはっきりしたのだと思います。「3.11以降」というのは、そうした意味でこれまでの社会的な事件とは大きく違っていると思います。かといって眉間に皺を寄せ続けて生きていくことはできません。今回の大きすぎる犠牲を無駄にしないためにも、私たちはほんとうに大切なものが何であるのかを、もう一度確かめあいながら、子どもたちへこの世界を譲るための努力をしなければならないでしょう。3.11が最悪の序章なのか、それとも再生のはじまりなのかは、私たち大人一人ひとりの行動に委ねられていると思います。
これから夏・そして秋へ向けて、カフェ豆ではいくつかのイベントを計画中です。またすばらしい作家の作品展もいくつか予定しています。また、日常のカフェとしての空間作りにも新たな要素を加えるべく走り回っています。多くの皆様がこの空間に集っていただくことで、人と人との、そして人と芸術との新たな出会いがあり、そこに新たなムーブメントが発生するのだと思います。この「新しさ」は単なる目新しさではなく、あるべき時代とリンクしていくという意味です。時間というものは消費されるものではなく、積み重なるものであるべきだと考えます。カフェ豆は、カフェというとてもフラットな日常の空間であると同時に、豊かな精神的空間との接点でありたいと思っています。だからこそ、おいでいただいたお客様に、すばらしいアートや音楽や文学が自然なかたちで寄り添うことができるといいなと思っています。是非、お気軽に「あ、豆ちゃん行こ。」というノリでご来店いただければ幸いです。