今日は小屋入り

はい!このページを開いて「あ〜ぁ、また改行なしの長文だよ」とうんざりした方、ごめんなさい。でも読んでくれますよね〜(笑)。ということで…
今日は6月1日。長崎の街は「小屋入り」です。「小屋入り」というのは、10月にある「おくんち」に奉納する踊町(おどりちょう)の世話役や出演者が諏訪神社へ参拝し、無事に務めが終わることを祈願した後で「今年はうちの町が担当しますね、よろしく」という意味も込めながら、市内をシャギリ(お囃子)をならして練り歩きます。そしたら「おお、今年のおくんちは銅座の南蛮船かあ」とか「お、籠町の龍踊りが特別出演だ」なとどわかって、生粋の長崎ッ子、地元では「じげもん」といいますが、そのじげもんの血がはやくも騒ぎ始めるのです。日本三大まつりのひとつである「長崎くんち」は、地元では「おくんち」といいます。江戸時代、日本で数少ない貿易港として栄えた長崎は、巨万の富を蓄えた豪商やオランダ人や中国人で賑わいました。そのお金の使い方も半端ではなかった。その文化にお金を惜しまない長崎の土地柄の名残りが、かろうじてこの「おくんち」に受け継がれています。昨今の厳しい経済状況に、長崎の街がこうした豪華絢爛なお祭りを維持していくのは大変なことなのですが、そこは「じげもん」の心意気。三度の飯は食わずとも、七年に一度の晴れの舞台にすべてを懸けるのです。だから、おくんちは本番の10月7・8・9日の三日間だけではなく、今日の「小屋入り」と挨拶回りである「打ち込み」を終え、毎晩各町内での猛特訓を経て、10月3日の「庭見せ」、4日の「人数揃い(にいぞろい)」を経て、いよいよ7日の本番となるわけです。この五ヶ月の間は、長崎の街はつねにおくんちの練習のかけ声やお囃子の音が鳴り響きます。その年に出る踊町の人たちは、老いも若きもおくんち目指してひとつになります。きっちりとした上下関係の中に、若者は年輩を敬い、年輩は若者を指導する。すばらしいコミュニティが形成されます。そうやって見事な伝統文化としてのお祭りは、同時に人間関係の形成の場となり、誇り高い長崎の「じげもん」が継承されてきました。昨今の新興住宅地で行われる単発的な「○○フェスタ」のような、とってつけたイベントとはワケが違います。この小屋入りから本番までの様子を見ていただければ、このおまつりが深い歴史と豊かな文化と温かい人間性と宗教に根ざした高い精神性が見事に引き継がれて来たものであり、じげもんのかけがえのない誇りであり、たんなる観光客を呼ぶ見せ物ではないことがおわかりいただける思います。本来、お祭りというものは、その地域の歴史や伝統に根ざした、地元の人たちのためのものですから、観光とは関係のないものなのです。でもそんなに見たいんなら見に来てもいいよ、ぐらいのことで充分だと思っています。ましてや観光客だけのために、ほかの日にちに出し物だけ見せるなんて愚の骨頂ですね。長崎のおくんちも一時そんなことをしていた時期もありましたが、今ではそれもなくなって、本来の姿に戻っているようです。おまつりは然るべきときに然るべきかたちで行われなければおまつりではありませんからね。地域に住む人々の生活に根ざしてこそのおまつりを私たちはしっかりと守っていかなければなりません。近所付き合いさえ希薄というか消滅したかのようなに都市や、野山を無理矢理切り開いてできた新興住宅地では、こうした祭りが発生することはありません。私たちが送っているごく平凡な生活の中にも、こうしたお祭りのひとつの風景を見るにつけ、長い歴史の中に育まれた素晴らしい精神性が沁み入っているんだなと思いました。おくんちのある風景。それは確実に長崎の大きな魅力のひとつだと思います。この長崎のおくんちや博多の山笠はもとより、四国の山奥の音もなく狐の面をかぶって踊り続ける盆踊りや、東北地方のもっともっと田舎でひっそりと伝統を守りながら継承し続けるお祭りなど、日本全国の伝統的なお祭りは、現実を遥かに越える力の存在と畏怖の念をとても自然なかたちで学ぶことのできる素晴らしいシステムであり、そうしたものが近代社会のシステムによって排除されていくことこそ憂慮しなければなりません。お祭りが観光客誘致のための客寄せパンダとなり、形骸化し、精神性を失った陳腐なイベントへと堕ちていくことは、なんとしても止めなければならないでしょう。
 
ということで、昨日のいつもの月曜定休日の無駄話ができなかったので、火曜日の営業中に書きました。火曜日は営業してますが暇なんです(笑)。しつこいようですがカフェ豆は月曜日が定休日で、火曜日は営業しています。しばらく火曜日も休んでいたので、今も火曜日も休みだと思ってる方もいらっしゃるようですが、火曜日は営業してます。みなさん火曜日も来てくださいね(笑)。ただし火曜日のランチはありませんのであしからずです。パスタランチは水曜日から日曜日まで、その日焼いたパンがなくなるまでお出ししています。よろしくお願いします。
 

先日の山内達哉コンサートの興奮がまだ冷めないでいますが、次のライブ「今沢カゲロウライブ」も是非おすすめしたいライブです。特にジャズとロックの好きな方にはおすすめです。目の前で見ているにもかかわらず信じられないような超絶テクニックのベースは、単に巧いだけではなく、そのアレンジやプログレッシブロックのスピリッツをビシビシ感じさせる涙ものの演奏です。ウェザー・リポートマーカス・ミラーやジャコパスオーケストラはもちろん、キングクリムゾン、ELPレッド・ツェッペリンだってガンガン弾きまくったかと思いきや、超高速「枯葉」や「ひょっこりひょうたん島」まで飛び出す、それはそれは楽しくて凄すぎるベースソロ。ソロと言ってもシンセにつないで、どんどん音を重ねていきますから、ギター、パーカッション、ストリングス、ホーンセクションまでみんなベース1本でやりまくっちゃいます。まあ、曲芸といえば曲芸ですが、その音楽性たるや素晴らしい。それはヨーロッパやアメリカやインドで絶賛されるだけのことはあります。そんなものすごい演奏が、カフェ豆で、それもすぐ手の届く距離で堪能できるのですから、これは聴き逃せませんぜ、ダンナ。6月12日(土)午後7:30スタート。2500円ワンドリンク付き。ただいま好評予約受付中です。電話095-825-4455 メールはyon_ef@ybb.ne.jp までお気軽に!