谷本光ライブまであと4日。

今度の日曜日のスーパーアコーストリックギタリスト谷本光ライブは、開催決定がついこのあいだのことだったので、このブログ以外ではほとんど宣伝できませんでした。ほんとは新聞やタウン誌やラジオなんかでも宣伝して、チラシやDMも出して、できるだけたくさんの方にお知らせして、たくさんの方に聴いて欲しいのですけど、メディアにほとんど載らないまま、あと四日後となりました。したがってまだ空席があります。谷本くんはとっても人気があるので、彼を知っている方は「まだ空いてますか?」と恐る恐る電話やメールをいただいていますが、まだ大丈夫!こんな機会はめったにないですから、是非ぜひおいでください。電話予約は095-825-4455 メール予約はyon_ef@ybb.ne.jpまで。それからやはり一部でメールが届いていなかったりするようですので、確認メールの返信がない方は届いていないとご判断下さい。やはり電話で直接予約が確実です。よろしくお願いいたします。

 
全国的に寒いそうです。ここ長崎でも雪が降りました。もちろん積もるほどではないですが、このところの春の陽気から一転しての寒波だったので、やたら寒く感じます。寒の戻りとか三寒四温とか、そんな生温いものではなくて、長崎でのこの寒さはめずらしいですね。
先日、ない時間の合間をぬって、ちょっとずつ読んでいた田口ランディ「キュア」をやっとのことで読み終えました。村上春樹以外の小説を最後まで読んだのは何年ぶり、いや何十年ぶりでしょうか。基本的に小説の読めない体質(もちろん体質と言っていいのかはいたって怪しい)なので、この小説を最後まで読めたこと自体が自分でも驚きでした。カフェ豆のお客さんの中には、お店に置いていたこの本を一度で最後まで読まれた方もいらっしゃいましたが、私はもともと本を読むのが遅い上に、前回どこまで読んだかすぐに忘れるので、最後まで読むのに何回も同じところを読んでいるのです。だからとんでもなく時間がかかるのと最後まで読まないパターンがたくさんあるなかで、この「キュア」はそれ以上の魅力がいっぱいつまった小説でした。現代がかかえるさまざま問題を、ひとりの主人公の心の機微からつぎつぎとひっぱりだしていく文章はすばらしいです。作者の田口ランディ氏に関しては、そのアクの強さからか、賛否両論あるようですが、個人的にはテーマのとりあげ方や、視点というか視座というかそのようなもの、そして実際に展開される言葉のつながりにしても、ゾクゾクするくらい魅力的なものです。現代医療、癌治療、医療制度、ホスピスターミナルケア、心理学、オカルト、スピリチュアル、超能力、民俗学文化人類学同和問題、宗教、トランスパーソナル、地球温暖化、環境汚染…そんなものが、この世界とどうつながっているのかを4・5人の登場人物を通してみごとに語り上げています。もちろんこのような問題意識を説明するために小説化したわけではないのでしょう。ひとつの現実の世界のありよう。それはここまで来てしまったこと、つまり世界をここまで痛めつけてしまったことに対して、もはやどうしようもない自分たちは、まずこれらのことを受け入れることが先決だし、いまさら慌てふためいたとしてもどうにもならないのではないか。これは決して悲観論ではなく、癌という自らの肉体が自らを滅ぼしていく病を、人間はどうすることもできないでいるように、じつはそれは敵ではなく、自らの過ちが癌という形をつくりだしているという法則のようなもの。そうした視座に立つと、医療も宗教も学問も社会問題も見えてくるのではいか、その向こうに人間の生きる道のようなものが残されているのではないか、といったメッセージが伝わってきます。決して誰にでもおすすめするわけではありません(笑)。田口ランディ氏が織りなす言葉の世界は、そこにひたるだけの十分な魅力があることと、少なくともこの世界のありようをもういちど考えてみる機会を与えてくれるものだと思います。

キュア cure

キュア cure

 
わたくしカフェ豆店主はいろんな音楽が好きですが、いちばん聴く機会が多いのはジャズです。で、ジャズといってもいろんなタイプがありますし、「え?これもジャズなの?」っていうようなわけわかんないものだってあります。それは美術作品にだって「これのどこがアートなの?」っていうようなものがたくさんあるのと同じですね。でもジャズは美術作品より節操がある(笑)。いい悪いがはっきりしてますし、質の悪いジャズは聴く機会がないというのもあるでしょう。めちゃくちゃ弾いてるようなフリージャズだって、聴くほうが気持ちを入れて「がぶりよつ」で聴けばしびれるほどの恍惚感だって味わえます。ただそんな音楽はいまどき受け入れる人が少ないですね。フリージャズでなくても、たとえばコルトレーンの比較的おとなしい曲でも、かまえて聴かないと疲れるだけですね。まあ、真剣に、それこそ命がけでサックスを吹いているコルトレーンをBGMにしながら自宅のちゃぶ台で卵かけご飯を食べたり、ネット仲間とおしゃべりしたりはできんでしょう。で、このあいだから聴いているe.s.t.という北欧のジャズバンド。このごろこれがすごいなと思っています。正統派のヨーロピアンジャズかと思いきや、ときどきエレクトロニカが入ったり、かなり挑発的なSEがはいったりで「おっ!」と思わせるけど、やっぱり正統派のジャズの部分はそれだけで凄いんですね。この音楽性の深さとレンジの広さはなんだ?と、ちょっと目眩さえします。でも凄い。ジャズ以外の要素が単なるお飾りじゃないんですね。それひっくるめて彼らのジャズなんでしょうね。極北のカフェをめざすカフェ豆ちゃんにはぴったりのジャズだと思いました。
極北のカフェをめざすカフェ豆ちゃんといっても、いきなり極北にしちゃうと誰も来なくなるので、まずはだれでも入ってこれるような南方のカフェからスタートしました。南方のつもりであったのが、それでも一般的にはかなり北よりだったらしくて、そこからさらに南下しているカフェ豆ですが、最終的にはどこかの時点で進路を極北へ向かわせたいと思っております。
で、現在かなり南方のカフェ豆ちゃんにふさわしいジャズはこれ↓
ディストラクションズ

ディストラクションズ

とってもキャッチーなんだけど、やってることは凄いトランペットだと思います。赤ずきんちゃんの恰好をしたオオカミといいますか、ミーハーの衣をまとった哲学者みたいな…あんまりたとえがよくないですね(汗)。なるほどハービー・ハンコックが惚れ込んだというのがわかります。これからジャズを聴いてみたいな〜と思っている、ちょっと背伸びしたくなった若い人には、このあたりから聴くとすんなり好きになるんじゃないかなと…いらぬお世話ですね(笑)。