桃カステラが人気です

きのう始まったばかりの「長崎みっけ 和華蘭カルタ 絵札の原画展」ですが、思いのほか反響が大きくて、すでに「買いにきますね」という連絡をたくさんいただきました。特に意外だったのがみなさん「桃カステラ」にすごい反応があったこと。長崎に住んだことのない方は「桃カステラって何?」と言う方がほとんどでしょうが、桃カステラって、長崎ではすっげ〜ポピュラーなお菓子なんです。長崎名物カステラを円筒型に焼いて、その上に「これでもかっ!」っていうくらい溶かして固めた砂糖が盛ってあるケーキといいますか和菓子といいますか、よくわからないお菓子なんですなあ。これが長崎では古くから初節句のお祝いのお返しの贈りものとして今に伝わっているわけで、長崎のカステラ屋さんは5月頃にはみんな店頭にこの桃カステラが並んでいるわけで、長崎の初夏の風物詩としては欠かせないものなのです。なんで桃なのかと言うと、べつに桃の味がするわけでもないし、果実の桃が入っているのでもありません。昔、長崎ととっても関わりが深かった中国の風習で、桃はとっても縁起の良い果物だったので、何かというと桃が装飾に使われていたわけで、それと同じように西洋では不吉なイメージのあるコウモリも幸運を招く生き物として装飾に使われてきました。カステラの本家○砂屋のシンボルマークがコウモリなのもそこから来ているらしいです。もともとポルトガルからやってきたカステラが中国の伝説と入り混ざって、長崎で生まれた桃カステラ。まさに長崎らしい和華蘭ケーキなのです。長崎ではおめでたい贈りものなので、自分で買って食べる人はほとんどいません。桃カステラは「もらいもの」なのです。よその地方の人にとっては、初めて見る桃カステラはそうとうなインパクトがあるみたいで、「こんなに不思議なお菓子は見たことない」と毎年長崎から送ってくれという東京の方もいらっしゃいます。まあ、そんなこんなで桃カステラは長崎の特色や歴史をみごとに体現したお菓子であって、あの目眩がするほど遠慮なく乗せられた砂糖のかたまりには誰もが驚くと同時に、江戸時代とっても貴重だった砂糖をこんだけつかってるぞ〜という、よく言えば心意気、またはみせびらかしでもあったと思います。日本で唯一の開かれた港だとか、天領だとか、税金どころか給付金さえ貰っていた長崎町民の道楽根性というか…、そんな特殊な長崎の時代背景が、このお菓子ひとつの姿にうかがえるのです。で、今回の和華蘭カルタの一番人気の桃カステラの絵札はこんな感じです。

右上の文字がなんで「も」じゃないの?と思うでしょ。この文字札は「これぞわからんけーき ももかすてら」だからです。ちなみに「も」の文字札は何かと言うと「もってこーい くんちではじまる ながさきのあき」です。ほらほら、もう買うしかないでしょ(笑)
でですね、こんなこともあろうかと、じつはこのカルタの絵を載せた絵はがきも制作中です。もちろんこの桃カステラもあります。発売は来週なかば、乞うご期待!!