クリエイターのスイッチ

カチッとスイッチが入った。そんな気がする。何のスイッチかというと、クリエーターとしてのスイッチ。ゴールデンウィークまでのひと月間、ダレダレ〜っと過ごしてきて、そのしわ寄せで一日3〜4時間睡眠で仕事を片付けてきた。そしてその仕事もやっと一段落したので、「さて、やるぞ!」っていう気になったのだろう。やるぞっていうのはもちろんあと1か月半でオープンするカフェ豆ちゃんのことだけど、カフェといってもただのオサレな喫茶店とは違う。昼はランチあり、夜はアルコールもあるカフェであると同時に、デザインスタジオであり常に企画展を開催するギャラリーでもあるし、クリエイティブなグッズや書籍を紹介したり販売するセレクトショップでもある。このあいだからギャラリーの名前を何にしようかといろいろ悩んでいたけど、ほぼ決まった。まだナイショ(笑)。そんなこんなも含めて「カチッとスイッチが入った」のは、もう一度クリエーター黒糖庵としてカフェ豆ちゃんを見直してみようというスイッチだ。いままでいろいろと準備してきたのは、あくまでも必要最小限のハード的なベースだったので、このベースにどれだけクオリティの高いソフトをつぎ込むことができるかをこれからやっていこうと思う。
お店は天井と壁の塗装がほぼ終わって、これから床の塗装に入るところ。それも今週中にはできあがる予定。来週は内装の最後の仕上げで照明関係や厨房やサニタリー設備のとりつけ。そして27日の日曜日に今のヨンエフの事務所の引越し。それが終わればいよいよ本格的に実践的なカフェの準備を始める。それと同時にギャラリーの準備もする。企画展と宣伝広報にもとりかかろう。広報といってもめったやたらと宣伝しまくるようなことはしない。ここがデザイン事務所ヨンエフの本領発揮といったところ。基本的にお店の宣伝は極力しない。むしろ隠す方向で、それでもどうしても漏れてしまった情報を得た人だけが辿り着けるようにできればと思う。カフェでもレストランでも長崎は新しくオープンしたというだけで、はじめはわんさか人がくる。しかしそれは単に物珍しさに来るだけであって、ひとしきり来ればあとはおしまいだ。経営的には最初の売り上げは上がっても、混雑のあまりお店の良さがお客に理解できないまま、サービスも不十分になって、せっかく来てくれたのに「こんな店」っていう話しだけが広まってしまう。クチコミというのがいちばん恐い。基本的にどんな人でもいいからたくさん来てほしいというのはない。できればこのお店の良さがわかっていただける人に来ていただきたい。ナマイキなようだけど、これは大切なことだ。高級宝石店に昔のガングロネエちゃんは迷惑だろうし、蕎麦屋にタキシードとイブニングドレスカップルが来られても困るだろう。繁華街で1杯100円のコーヒーを出すカフェに70過ぎのおばあさんの団体が加齢臭ふりまいて居座るのは、カフェがそういう状況をつくっているのだから文句は言えない。カフェ豆ちゃんで500円のコーヒーが高いと思う人は来ないだろうし、ジャズやアンビエントミュージックが耳障りな人には居心地が悪いだろう。お店のスタイルはそれだけでお客を選ぶ。お客がお店を選んでいるように見えて、じつは逆だ。だからお客を選べるだけのお店かどうかが大切だ。そしてカフェ豆ちゃんは思いきりお客さんを選んじゃおうと思っている。これは決して生意気な経営方針ではなく、来ていただくお客様に対する質の高いサービスだと思う。これまでカフェにはほとんど行かず、ホテルや旅館のリサーチをしてきたのはこういう理由だ。居心地、サービス、空間、文化、対話、嗜好、匂い、テクスチュア…その一つひとつにクオリティを感じることのできるお店を考えると、既存のカフェより一流の旅館やホテルがとても参考になった。かといってカフェ豆ちゃんをセレブの社交場にしようとは思っていないし、こちらから願い下げだ。要はこの空間が好きで楽しめる人にいつでもいくらでも来てほしいと思っているからであって、上からの目線でお客さんを選ぼうとしているのではないことをわかってほしい。さて、ハード完成を目前にして、いよいよソフトにとりかかるクリエイター黒糖庵の腕の見せどころだ〜!(笑)

カフェ豆ミュージックNo.16

Wish You Were Here

Wish You Were Here

ピンクフロイドのアルバムの中でも、これは特に質が高いと思う。もちろん「狂気」はすごく完成されているし、「おせっかい」はプログレの真骨頂だし、「ザ・ウォール」の社会的位置づけも重要だと思うけど、こと音楽性となるとやはり抑制の効いたこれではないだろうか。そしてこのアルバムをBGMにつかうカフェは日本にいくつもないだろう(笑)