職人気質

カフェ豆ちゃんの内装も、いよいよ終盤にさしかかり、塗装の段階にきた。壁と天井の基礎ができあがり、昨日と今日はパテでテクスチュアをつける。普通はコンパネの継ぎ目の凹凸を平らにするために使うパテを、テクスチュアを出すための素材に使ってもらった。だから通常の3倍か4倍ものパテを壁全体にランダムにコテで塗る。それからわざとつけた凸凹をサンドペーパーで磨いて、ちょうどいい感じのてづくり感を出す。「こんなこと左官でもやらんですよ」と笑いながら塗装の職人さんが言う。「すみません、このヘタクソな左官が塗って失敗したような感じを出したいんです」というデタラメな要求にとまどいながらも一生懸命やってくれる職人さんに感謝である。床の板材もしっかり貼り終わって養生シートとベニヤ板でしっかりカバーされた。壁と天井の塗装のあとは、この床の塗装。これもまた何度も何度も試し塗りをしてもらって、私のイメージにとても近いものになった。木目が少しわかるくらいの茶色っぽい黒。それもつや消し。「あとはおまかせします」と言えるほどわかってもらったので安心だ。入り口の床は天然石を模した樹脂のシートを考えていたのだけど、やっぱり見せかけだけの素材には抵抗があったので、これもわがままを言わせてもらって「コンクリート打ちっぱなしのなかでも、とってもよくできたやつを暗くした感じ。すべらないように表面に砂目を入れる。できます?」「う〜ん、できるよ」その言葉の間には普通はできないんだけどという職人のプライドが感じられた。イメージをそのまま伝える私の言葉に対して、コストや作業方法や仕入れる素材のロットの問題などをあれこれ考えての「できるよ」の返事にプロの経験と頼りがいがうかがえる。すばらしい職人さんたちと出会えて幸せである。