お知らせです

cafemame2008-05-15

今度の土曜日、つまり5月17日の午後3時からチェロの演奏会をやります。以前カフェ豆で演奏していただいた片田尚孝さん。長崎交響楽団のチェロ奏者です。ピアノ伴奏は長崎純心大学児童保育学科4年の高木麻帆さん。題して「宮沢賢治へのオマージュ」。特に入場料はありません。カフェなのでワンドリンクオーダーをお願いします。土曜の昼下がり、チェロの調べに浸るのもいいですよ。
チェロ演奏会「宮沢賢治へのオマージュ」
5月17日(土)15:30〜
チェロ:片田尚孝(長崎交響楽団チェロ奏者)
ピアノ伴奏:高木麻帆(長崎純心大学児童保育学科4年)
入場無料(ワンドリンクオーダー)
 
今日は朝から夕方までデザインの仕事でお店にいなかったのですが、そしたら普段より忙しかったようで……複雑(笑)。
 
13日から開催中の「石川ハミ作品展」このあいだも書きましたが、いつものように洗練された侘び寂びの茶碗や香炉をつくっているハミさんの作品ではないので、お客様の反応がさまざまです。今日もハミさんの作品を探すお客様、これですよと説明しても何のことやらわからないお客様、ハミさんのことは知らなくても、とても感動してくださるお客様、内装にあまりにマッチしているので、もともとお店にあった装飾品と思って気に留めないお客様などなど。それはそれでいいと思います。作品に対して「こう見なさい」とか「こうあるべき」などといったことはありませんし、たとえそれが作品として見えても見えなくてもかまわないわけです。ただいつものハミさんの素敵な器を見ようと思って来られたお客様には申し訳ないなと思います。でも今回の作品もまちがいなくハミさんの素敵な、そして深い精神性と高い造形性を秘めた作品です。ぜひじっくりと対話していただきたいと思います。12日の展示が終わった直後に、まつを氏にお願いしてハミさんと、ご主人の石川照(あきら)さんへインタビューを行ないました。その時の様子をここで聴くことができます。↓
http://sound.jp/matsuwo/#16

思いのほかとてもコアなお話をしていただきました。とてもすばらしいインタビューでした。
「この度はつくらされたという感覚です。一生懸命、真っ直ぐ、正しくあらねばならないと思いつくりました。案内状にも自分の名前はいらないと言ったほどです」
これこそ現代芸術に求められているスタンスではないかと思います。ぜひ多くの方に聴いていただきたいし、そしてまた作品も直に見ていただきたいと思います。
今回の作品展にあたり、石川ハミさん本人から文章をいただきました。もちろん会場にも掲示しているのですが、あえてここで紹介させていただきます。
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 昨年ギャルリーコクトーさんから5月頃にでも個展をと依頼されました。日ごろは花入れや水指、茶碗など昔の陶工が作ったものや歴史を参考に美術館へ見に行ったりするのですが、今回はなぜか昔のアルバムを出したりして、つたなかった自分を振り返っていました。寝袋をしょってインドやネパール、タイと旅をして回っていた頃や、ヨガアシュラムにいた頃、グルに付いて焼き物の叩きの技法を学んだりした時のことを思い出していくうちに、胎蔵界曼荼羅金剛界曼荼羅を土で表現したものとなりました。胎蔵界曼荼羅はまあるく色んな想いが渦になっていて、土星の輪のような形のものです。金剛界曼荼羅市松模様のような四角い陶板のいくつかを繋げたもので、チベットラマ僧ニチャンリンポチェ氏より頂いたチベット仏教の文字を土の板にしたものです。この文字から何かしらエネルギーがいただけるような気がして彫り入れました。
 そんな滑り出しの仕事でしたが、福岡市美術館李朝の茶陶を見に行ったときの事です。その茶陶展が前日で終わっていて1月5日からは『手のひらの仏たち 仏展』が始まっていました。美術館の一角の部屋に小さな素焼きの仏さま達が愛らしく静かにいて、思いもかけず以前旅をして回ったアジアの人々が見の前に蘇っていました。金やヒスイの仏様ではなく、貧しく純粋な人々が土くれの仏様を懐に持ち祈る姿を思い出しました。見せていただいたなぁと思いました。土でできた素朴な仏様へ名もなき陶工の一人である私もと帰依する思いで作り出していました。
 それから3月10日に始まったチベットのラサでの抗議行動は、新聞やTVによって、なぜかあの赤い服の僧やチベットの人々の暴動として流れていました。インド仏教の直系で言語までがサンスクリットを理解できるように確立されているチベットが、今では中国政府の統制下にあります。個人的ではありますが、ここ長崎に住んでいるとチベット人よりは中国人のお友達のほうがはるかに多いし、知り合いの中国の人は皆良い方ばかりです。しかしながら、大国6億人の中国と、貧しい人口約5万人のチベット人、外国に住むチベット人でさえ約15万人。小さな民族の人権を大国の報道統制や圧力で抑えています。
 2004年にダライラマが熊本にいらした時に聞いた御講話が「縁起」についてでした。すべての事は依存し合って現われているというお話でした。他者を利益するために自らが悟りを得ようという決意ともチベット仏教の内容について書いてありました。もつれた糸もこの知恵で解けていくのではないかと考えます。今回の抗議行動は中国とチベット民族の問題だけでなく、未来を占う象徴的な出来事のような気がしてなりません。自分の事として考えて行動した時に、すべてが好転するような気がします。そんな想いから石を作りました。振り上げた石を大地に下ろしたときに花がそして香が香ると…
 3月10日の報道によって初めて自分が半年前から作り出したものの意味を理解しました。
 偶然の重なりに驚いています。          美しい波
 

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